スターウォーズのスピンオフアニメ作品であるバッドバッチ。今年の1月4日からシーズン2の配信が開始されているのだが、しばらく見ずに放置。もう6話も溜まっていることに気づいて慌てて一気見した。すごくいいアニメだと思う。
おれがそれに気がついたのはこのアニメの第2話「戦争の爪痕」。この回では、任務で訪れた惑星の住人のことを「分離主義者」と呼んだテクに対し、現地住人のおじさんが「わしらは分離主義者ではなくセレノア人だ。戦前から存在している」と述べる。テクは少し間を置いてから「考えたこともなかった……」と答えた。
おれはこのシーンを見てほんとに興奮した。戦前から存在している、という台詞は、クローン戦争の為に産み出されたテク達クローントルーパーとの対比を表しているのは明らかだ。
クローントルーパーの持つ"生物としての歪み"に対してスターウォーズはこれまで何度も言及してきた。
「俺たち/彼らは戦いの為に産み出された存在だ」と。
ただ上に書いたこのバッドバッチの台詞のように、クローンを文化的、歴史的なバックボーンを持たない存在だと置く解釈は初めて見るものだった。*1この事実はクローン達が社会と繋がることがどれだけ難しいか、それを実感させた。
このようなクローンの解釈を念頭に置いた上、バッドバッチs1の終盤、全てのクローンの故郷たるカミーノの施設が帝国によって破壊されたのを思い出してほしい。
これはただでさえ国も文化も持たず、宗教を持たないクローン達は故郷をも失ってしまったということだ。
そしてシーズン2の3話に登場するクローン兵、コーディ。彼は212大隊に所属しているクローン特有の黄色いペイントを失い、白黒カラーになっていた。クローンたちは所属する部隊からも切り離されようとしているのだ。
そんな彼らは帝国に所属する事でかろうじて社会と繋がれている。
じゃあその帝国を裏切ったバットバッチはどうなんだ?
彼らもシドのお陰でなんとか生活できている。しかし、シーズン2では1話で帝国がこのまま支配域を広げればシドの商売はお終いなこと、4話でシドはそのうちバッドバッチを裏切るかもしれないことが示唆されている。
シドがいなくなったバッドバッチはどうなるのか、反乱軍やその他反帝国組織に入るのだろうか。そうかもしれない。
しかしそんな未来はおれにとって悲しい。彼らは戦う為に共和国によって生まれた。そして生みの親から完全に離反した後もシドの元で傭兵のようなことをして身をたてている。
シドがいなくなった後も彼らには戦士としての道しか残されていないのだとしたら、それは辛すぎる。
希望があるとすれば、バッドバッチs2の中の各種描写だ。
5話、オメガはトレジャーハンターとしての才能を評価された。4話、テクはレーサーとして一流の腕を見せた。
少なくともこの2人は戦いから離れてもやっていけそうに見える。
エコーはなんだか帝国批判的な言動が目立つ。彼は反乱の為戦うのかもしれない。
ハンターとレッカーはまだ分からない。
バッドバッチシーズン2はまだまだ未配信のエピソードが残っている。そこで語られるのかもしれない。
ボバフェットは自らのスピンオフドラマに置いて、タスケンレイダーと交流することで自らのアイデンティティを再構築し、タトゥーインの大名となることで、父親から受け継いだ賞金稼ぎとしての生き方から脱却した。
バッドバッチの皆も、彼のように上手くいってほしいが……
また今後に控えるマンダロリアンs3も気になる。孤児であったディンは、チルドレンオブザウォッチというカルトに 所属している。
ディンはチルドレン〜の戦士であり続けるのか、それとも全く別の道を歩むのか。